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2月定例県議会・知事提出議案に対する反対討論

2019年3月13日 日本共産党・火爪弘子

 今定例会に知事から提出された議案のうち、日本共産党は議案第1号平成31年度富山県一般会計予算案および、議案第20号、25号、26号、29号、30号、40号から43号と46号の、あわせて11の議案に反対しますので、以下その理由を申し上げます。

 まず、議案第一号富山県一般会計予算案について述べます。
今回の予算案は、昨年全国で相次いだ自然災害を教訓にした防災対策など、わが党が地域で、地方議員のみなさんなどとも一緒に要望してきた課題についても、多くが盛り込まれました。県立学校普通教室への県費によるエアコン設置やトイレの洋式化、部活動指導員やスクールカウンセラーの増員なども歓迎しています。石井知事以下、予算編成へのご尽力に感謝するものです。

 しかし、予算案全体を見た時には、大きく言って3つ問題点をあげたいと思います。
 まず、一般質問でも述べましたが、県民生活にとって最大の問題が、10月の消費税増税を積極的に評価し、受け入れる予算案になっているということです。政府が打ち出した対策を具体化し、増税分の使用料や手数料値上げも機械的に県民に転嫁する計画となっています。
しかし、日本共産党は今からでも、消費税増税は中止すべきだと考えています。幅広い市民、野党と連携し、今年前半の2つの全国的選挙で、消費税増税の是非を国民に問い、増税中止に追い込む決意です。
 現状は、県民の暮らしも経済も、とても増税できる状況にはありません。消費税8%への増税以来、家計消費支出は年額で実質約25万円も減少しました。実質賃金も、増税前と比べて10万円以上落ち込んでいます。毎月勤労統計の不正発覚後、安倍首相も国会で落ち込みを認めざるを得ませんでした。先日発表された1月の景気動向指数は、3か月連続で悪化となり、内閣府は景気判断を「足踏み」から「下方への局面変化」に引き下げました。共同通信が今月9、10日に実施した世論調査では、景気回復を「実感していない」との回答が84.5%、消費税増税「反対」が54.9%、「賛成」は39.9%でした。石井知事にも、ぜひ考え直していただきたいと思います。

 問題点の2つ目は、土木費の12%増額の一方で、民生費がわずか1.7%増、横ばいとなっていることです。
 土木費大幅増額の主な要因は、防災対策です。もちろん、政府の「防災・減災、国土強靭化3か年緊急対策」など、防災対策は重要です。であるならば、これまでの事業を、厳格に点検しなければなりません。不要不急の大型開発、緊急度の低い事業などは、思い切って見直すべきだったのではないでしょうか。
 例えば、わが党がこれまで問題点を指摘してきた事業に、富山市の中心市街地再開発補助金があります。高層マンションなど民間が行う再開発事業に、県から巨額の補助金を出す必要があるのかと指摘してきました。今回の予算案には、5カ所の再開発事業に県からあわせて43億6,300万円支援するうち、今年度分5億3,600万円が計上されています。財政力のない周辺地域への支援ならいざ知れず、こうした富山市の巨大開発にお付き合いする必要はないと思います。いかがでしょうか。
 利賀ダム本体の建設のための転流工関連工事にも、同意できません。予算案には、直轄事業負担分として7億3,500万円が含まれています。知事は、今議会の答弁で、国土交通省はダム事業の検証を丁寧にやったと答弁されましたが、そんなことはありません。検証作業のなかでは、利賀ダムの洪水調整能力は不動の前提とされ、再検証はいっさい行われませんでした。庄川の洪水の最大の要因は岐阜県山間部など上流部における降雨ですから、庄川本線での対策こそ重要です。庄川下流部にそそぐ利賀川上流のごく一部のエリアにダムを造っても、治水効果はきわめて限定的であるとの専門家の指摘については、検証されませんでした。昨年の西日本を中心とした集中豪雨においても、ダムよりも河川改修、堤防強化などが急がれることが教訓として指摘されています。再検証を改めて求めるものです。

 民生費については、消費税増税にともなう幼児教育無償化準備予算などが含まれた割には、横ばいとなりました。昨年のねんりんピック予算の減額もあるでしょうが、軽視できません。介護施設整備費や生活保護費が昨年に続いて減額されています。生活扶助費の相次ぐ減額には同意できません。少子高齢化対策として、民生費はさらなる増額、拡充が必要です。
 民生費のなかで県の消極姿勢が近年際立つのは、県単独医療費助成制度についてです。子どもの医療費助成水準が対象年齢でも、予算規模でも全国最下位になったことは一般質問でも指摘しました。それ以外にも、全国30県が実施している精神障害者への医療費助成や、高齢障害者などへの窓口無料化などが未実施のままになっています。みんな、市町村の判断でといって背を向けています。今後の見直しを強く要望するものです。

 問題点3つ目は、県職員の削減、とりわけ教職員の大幅削減です。
 平成16年以後の15年間で、一般行政部門の県職員は23.1%減らされてきました。予算案でみると、人件費が大幅に減少し、仕事だけが増えています。 
正規教員はこの15年間で314人、3.9%減らされてきました。新年度も45人の減少です。学校の先生以外の事務職員、技術職員なども15年間で368人、28.7%減らされてきました。新年度も8人の減少です。
 教員の多忙化解消のために、部活動指導員やスクールサポーターを配置することは重要です。しかし、最も重要なのは、先生の数を増やすことです。せっかく、35人以下学級が小学校4年生まで拡大されたのに、増えた学級担任分の正規教員が学校に増員されないために、35人学級が選択できない学校が増えています。国に定数改善を強く求めるとともに、難しいなら県単独でも増員配置すべきです。私はこれまでも、県単独で正規教員を増員し、小中の全学年に35人以下学級を導入している福井県などの事例を紹介してきました。改善を強く求めるものです。以上、一般会計予算案について述べました。

 次に議案第20号・富山県工業用水道事業会計予算案ですが、これには利賀ダム建設費負担金1,831万円余が含まれています。利賀ダム本体の建設には反対であり、工業用水も不足していないため、工業用水事業会計から拠出する道理もありません。
 議案第26号と議案第46号は、県職員および教職員の定数を減らそうとする条例の改正案です。先程述べたとおりです。
 議案第25号は、マイナンバー制度の利用範囲を自立支援医療費の認定にも広げようというものです。マイナンバー制度については、主に2つの点で危険性を指摘してきました。一つは、時の政府と国家権力が国民の財産とプライバシーを握り、管理することの危険性。もう一つは、情報流出をふせぐ保障がまったくないという点です。マイナンバーカードの利用も約13%と停滞しています。同意できません。
 最後に、議案第29号など6本の条例改正案、および30号と40号から43号ですが、これは10月からの消費税増税にともない、県有施設の利用料や手数料をいっせいに値上げしようとするものです。県民会館使用料や美術館、博物館の観覧料など、県民に身近な施設使用料を含めて、いっせいに値上げとなっています。増税の行方を注視し、また据え置きを判断すべきものもあったと思います。
 県政の一番大事な仕事は、弱者によりそい県民福祉の増進を図ることにあります。日本共産党は、県民の実態と願いを議会に反映し、県政を県民の立場からチェックする役割を果たすため、今後とも全力を尽くす決意を表明し、11議案に対する反対討論といたします。

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