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9月定例県議会本会議(9月17日)、ひづめ県議の一般質問

2019・9・17 日本共産党・火爪弘子

私からもまず、千葉県をはじめ台風15号で被災された地域の皆さんに、心からお見舞い申し上げます。

(1)県内経済と産業を守るために

消費税増税が予定される10月1日まで、半月を切りました。わが党は、最後まで増税の中止を訴え活動しています。石井知事は、答弁で繰り返し「持続可能な社会保障制度のためには増税は避けられない」と述べてこられましたので、わが党と見解が平行線であることは、十分承知しています。

しかし、今の時期の増税は、やはり危険ではないかということです。今月11日、北陸財務局が発表した今年7~6月期の北陸三県の景気判断指数は、全産業でマイナス11.7と落ち込み、今後はさらなる悪化が見込まれるとされました。全国的にも、実質賃金が7か月連続で前年を下回り、平均家計消費は8%増税前と比較すると年間20万円も減少しています。日本経済は明らかに減速し、米中貿易摩擦などで海外経済はさらなる悪化が予想されています。

加えて、複数税率による混乱と小規模事業者への負担増が予想されます。専用レジの導入やキャッシュレス対応で、小規模事業者の負担は重く、キャッシュレス決済導入店舗は全体の3割に止まることが明らかになっています。

9月11、12日の共同通信の世論調査でも、10%増税後の経済が「不安」との回答が81%で、8月の調査では増税反対が51.3%と半数を超えました。改めて、このタイミングでの増税はきわめて危険だと思いますが、知事の見解をうかがいます。(知事)

日韓関係が悪化するなかで、エアソウル便が前倒し運休になるなど、県内観光をはじめ各分野への影響が心配されています。日韓の「歴史問題」は、政府間で粘り強く協議し、貿易・経済や民間交流に波及させるべきではありません。最近はマスコミのなかにも、この問題で「嫌韓」とナショナリズムを煽る動きがあることは、きわめて危険だと言わなくてはなりません。1965年の日韓請求権協定で、国家間の賠償が決着積みだとしても、個人の請求権が消滅していないことは、これまで日本政府も認めてきました。両国政府による冷静な話し合いで、日韓関係が一日も早く改善に向かうよう政府に働きかけるとともに、地方自治体としての経済文化交流の強化と、両国の信頼醸成に引き続き努めるべきと考えますが、知事の見解をうかがいます。(知事)

豚コレラの感染については、12日の知事答弁のあとも、豚への感染は埼玉、山梨、長野県にまで広がり、県内野生イノシシの感染確認も立山町にまで広がって13例になりました。感染は予想をはるかに超える速さです。養豚農家のみなさんは、毎日生きた心地がせず、豚へのワクチン接種を切実に求めています。

知事は、8月20日に農水省にワクチン接種を要望したと答弁されましたが、その後も国は未だ「是非の検討を続けている」という態度です。14日の農水省の防疫対策本部会合でも、何ら結論は出ませんでした。マーカー・ワクチンの検討など、待っていられる状況ではないのではないでしょうか。この段階で、知事がどう行動するかではないでしょうか。

相手は、官邸主導の安倍内閣です。TPPや日欧EPAで畜産農家を追い詰め、農産物輸出1兆円にこだわり、岐阜県の養豚数が半分になっても、ワクチン接取を決めなかった政府です。もちろん、ワクチンは国の責任で打ってもらわなくてはなりません。しかし、養豚農家からは、こうなったら知事には「富山県の養豚農家を守るために、富山県だけでもワクチンを打たせて欲しい」と国に強く迫って、突破口を開いて欲しいとの強い願いが寄せられています。改めて、知事会で緊急決議を組織するとか、政府への緊急申し入れを行うとか、強力なアクションが必要ではないかと思います。ワクチン接種の実現へ、知事の決意をうかがいます。(知事)

加えて、アフリカ豚コレラの国内感染も心配されています。中国などの近隣国で感染が広がっているアフリカ豚コレラは、今のところ有効なワクチンや治療法がなく、いったん国内に感染が持ち込まれれば、豚コレラ以上の事態も予想されます。すでに日本の空港で、生きたウイルスが発見されており、警察庁は感染豚を密輸した容疑者を逮捕したと発表しています。海外からの畜産物の違法な持ち込みに対する罰則を強化するなど、水際対策に万全を期すよう、政府に強く働きかけなければなりません。農林水産部長の見解をうかがいます。(農林水産部長)

(2)障害者問題について

7月の参議院選挙で、2人の重度身体障害者が当選し、国会の議場や制度の改革がすすんでいます。また、これまで指摘されながら政府が背を向けてきた重度障害者の就労への(障害者)福祉サービスの適用についても検討が進み始め、国民の障害者問題への関心も集まりました。この機会もいかし、さらに多くの障害者のみなさんが勇気を出して各分野に挑戦され、引いては国連の障害者権利条約を日本に深く根づかせていくことを大いに期待するものです。今回の2人の重度身体障害者の国会進出を、知事がどのように受け止めておられるのかうかがいます。(知事)

今月7日に、県内の障害者団体が主催した「これからの精神障害者福祉を考える障害フォーラムinとやま」に参加させていただきました。当日は、県議会から私を含め5人が参加しました。このフォーラムで上映された映画「夜明け前―呉秀三と無名の精神障害者の100年」は、1902年に現在の日本精神神経学会と日本精神衛生会の前身を創設した東大医学部精神学科教授、呉秀三氏の業績を中心に紹介したものです。1918年に彼が公表した「精神病者私宅監置の実況及びその統計的観察」には、当時何の治療もされずに私宅監置(座敷牢)に閉じ込められた全国の患者を実態調査した結果が綴られています。映画は、その衝撃の映像とともに、そのなかに呉秀三が記した「我が国十何万の精神病者は、実にその病を受けたるの不幸の上に、この国に生まれたる不幸を重ぬるものと言うべし」という告発の言葉を伝えています。

映画の後の講演と鼎談のなかでも、この言葉が改めて紹介され、「今も本当に夜は明けたのか」「この国に生まれた不幸とともに、富山県に生まれた不幸を重ねなくていいように頑張ろう」と語り合われ、障害者運動の前進を誓い合う貴重なフォーラムとなりました。

昨年2月定例会で私は知事に、富山県も県単独医療費助成制度の対象に、身体や知的障害者と同じように精神障害者も加えるべきではないかと述べました。県内障害者団体のみなさんの切なる願いです。

1993(平成5)年の障害者基本法は、精神障害者を身体、知的障害を含む3障害のなかに、初めて位置づけました。それまでは、精神障害者は治療の対象であっても、福祉の対象ではありませんでした。ですから、1965年に創設された精神障害者に対する国の通院医療費公費負担制度は、対象を精神科の受診のみとしたのです。精神障害のある青年によって起こされた1964年のライシャワー事件をきっかけに作られたこの制度は、通院治療によって日本の精神障害者を減らし、社会を防衛することにあったのです。したがって、富山県が福祉制度として、県単独医療費助成制度を創った時にも、精神障害者は対象になりませんでした。

しかし、時代は変わりました。精神障害者も医療とともに、障害者福祉の対象になったのです。だから、県単独医療費助成制度の対象に精神障害者も加えた自治体は、すでに32都道府県にまで広がりました。富山市からも県への重点要望事項としてこの課題が提起され、市町村担当者を集めた勉強会も開かれたと聞いています。国に制度の改善を求めつつ、県としても市町村の理解を求め、県単独医療費助成制度の対象に精神障害者を加えるべきだと思います。改めて、知事の見解をうかがいます。(知事)

昨年8月に、政府機関における障害者雇用の「水増し」が発覚してから、1年が経ちました。民間を指導すべき行政が、障害者の働く機会をそれだけ奪っていたことは、極めて重大です。しかも、先日の厚生労働省の発表では、昨年10月以降、中央省庁28機関において新たに3,131人の障害者を採用したものの、うちすでに161人が離職しているとのことでした。県内では、こうした大規模な離職はないと聞いていますが、今後とも職場での、障害者トイレの設置、休憩スペースの確保、手話の普及、ジョブ・コーチの配置をはじめ、合理的配慮の徹底と、正規雇用での採用拡大を要望するものです。

そこで、県内では、この1年間どんな努力が行われてきたのか。現在の法定雇用率達成状況と今後の取り組みについて、県と市町村の状況は経営管理部長に、県教育委員会については教育長にそれぞれうかがいます。(経営管理部長)(教育長)

県民のためにも県職員のためにも、県庁舎や県有施設のバリアフリー化は重要です。一年前に、障害者雇用「水増し」問題に関して、障害者団体のみなさんが県庁の各部長室を回られた時、本館と別館に段差があって先に進めませんでした。別館のエレベーターには電動車いすが入れず、上がれませんでした。この時のことは、昨年経営企画委員会で紹介しました。加えて、今月6日には、富山大空襲を体験された92歳の宗教者の方が、県議会からすぐ目の前の厚生部長室に行かれるまでの渡り廊下の階段で、たいへんな思いをされました。同行していた私は、県会議員として申し訳ない、恥ずかしい思いでいっぱいになりました。改善の取り組みを切に求めて、部長の見解をうかがいます。(経営管理部長)

富山県美術館に行かれた障害者の方々からも、厳しいご意見をうかがっています。点字表示があるのは玄関とトイレの中だけ。階段も、視覚障害者や高齢者のことを考えたら、段々の角が分かるように色を付けて欲しかった。一階ごとに手すりが連続しておらず、階段の上で切れているのも危険だとのことでした。また、触って鑑賞できる展示物がなく、三沢厚彦氏のクマにも触れなかったそうです。改めて、障害のある方々の意見を聞く大切さを痛感しました。

以前、県リハビリテーション病院・子ども支援センターを建設する際に、障害者団体のみなさんが事前に館内を調査し、様々な提言を行ったと聞いたことがあります。美術館については改めてチェックし、必要な改善を行うとともに、今後県立施設を建設する際には、より丁寧に障害者団体などのチェックや提言をいただくなどを、制度化すべきではないでしょうか。生活環境文化部長の見解をうかがいます。(生活環境文化部長)

車いす用駐車場の利用を改善、周知するためのパーキング・パーミット制度の検討が行われています。13年前に佐賀県から始まったこの制度は、すでに37県で実施されてきました。障害者差別解消に関する県条例の制定からすでに4年目の富山県としては、いささか遅かったとも感じますが、できるだけ早い実施とその効果を期待するものです。加えて、先日の地域指導員研修会の場で、車いす用駐車場の幅は3.5メートルと決まっているが、スロープ式の送迎者に対応できるよう、長さについても確保して欲しいとの要望が出されたとのことです。国土交通省が今年3月まとめたパーキング・パーミット制度事例集でも、設計標準のなかで「奥行きについても検討することが望ましい」「特に後部ドア側のスペース確保が必要」としています。この点も、マニュアルに明記すべきと考えますが、パーキング・パーミット制度の実施時期や検討状況とあわせて、厚生部長にうかがいます。(厚生部長)

(3)幼児教育・保育の無償化などについて

10月から幼児教育・保育の無償化がスタートします。しかし、「無償化」といいながら、保育料のなかの副食費が対象から外され、実費徴収となりました。しかし、保育所の給食は提供が義務化された保育の一部です。しかも、保育関係者からは、国が示す副食費基準4,500円と、実際にかかる費用との間には差額が生じ、その分が保育所の持ち出しになると聞いています。すでに秋田県は、市町村が独自に無料にすれば、その半額を支援することを決めています。消費税増税の負担は、収入に比べて支出の大きい子育て世帯には、とりわけ響きます。国が、どうしてすっきり無償化しなかったのか納得がいきません。

そこで今年度県は、年収640万円以下の世帯の第3子以降の子どもにだけ、副食費を支援することにしていますが、第1子・2子にも支援を拡げられないでしょうか。今回の無償化で、これまで保育料を軽減していた分の県予算が約1.7億円浮くと聞いています。知事の見解をうかがいます。(知事)

無償化にあたって保育関係者からは、保育ニーズが増大し、保育士不足に拍車がかかるのではないかと心配の声が寄せられています。引き続き保育士の確保は、切実です。政府は保育士の処遇改善を進めるとしてきましたが、どの程度改善されてきたのでしょうか。どう取り組んでいくのか、厚生部長にうかがいます。(厚生部長)

3年後をめどに建設される防災・危機管理センター(仮称)のなかに開設される県庁内保育所に期待しています。事業所内保育所となると、保育士配置基準が緩和されますが、本来の認可基準をクリアした保育所にして欲しいと思います。少なくとも午後7時までは開所し、給食室や環境の良い園庭も整えるべきと考えますが、現在の準備状況とあわせて、経営管理部長の見解をうかがいます。(経営管理部長)

市町村は今、来年度から5年間の子ども・子育て支援計画の改定に取り組んでいます。そのなかで、県内の放課後児童クラブが、質・量ともさらに拡充されることを期待しています。そこで、今回は、国が指導員の処遇改善のために3年前に創設した放課後児童支援員キャリアアップ事業の活用を、市町村に働きかけるよう要望したいと思います。この制度は、指導員確保と離職防止のために、研修を修了したすべての放課後児童支援員に月1万円報酬をアップし、5年以上継続勤務する指導員には月3万円をアップするというメニューです。これは、夕方6時半までの開設を条件にしないなど、市町村がその気になれば広範囲に採用できる補助制度です。しかし、全国保育研究所の調査によれば、この制度を使った市町村が一つもないのは、富山県だけとなっています。県から市町村への働きかけを要望し、部長の答弁を求めます。(厚生部長)

(4)自治体職場の環境について

新しい県の少子化対策・子育て支援計画の検討がすすんでいます。子育てしながら、男女ともに安心して働ける職場づくりは切実な課題です。先日の総務省の発表によれば、県庁の男性職員の育休取得率が0.9%と低水準であり、0%台は5県のみとのことでした。トップは岐阜県の9.1%。国家公務員の取得率は10.1%とのことでした。新しい大臣の、育休取得などが話題になっていますが、影響力のある人や影響力のある職場が、育休をとることで、民間でも取得しやすくしていくことは大事です。今後どのように取り組んでいくのか部長にうかがいます。(経営管理部長)

マイナンバー制度については、国民の個人情報を国が集中管理しようとするものであり、また現在のシステムでは情報漏洩を防げないことから、わが党は賛成してきませんでした。マイナンバーカードの普及も、8月時点で人口比13.9%に止まっています。昨年10月の内閣府の調査では「(カードを)今後も取得する予定はない」と答えた人が57.6%、「情報漏洩が心配」との回答も26.7%にのぼりました。

こうした事態を前に、政府がマイナンバーカードの普及に躍起になっています。消費税増税対策に利用し、再来年3月からは健康保険証としても使えるようにしようとしています。しかし、情報が集められれば、集められるほどカード紛失などによる情報流失のリスクは大きくなります。

そんななか総務省が、本年度末までに全国のすべての公務員に、マイナンバーカードを取得させるとの方針を決めたことに抗議の声があがっています。すでに、県内自治体でも勧奨手続きが始まっています。しかし、法律でもマイナンバーカード取得は国民に義務付けられていません。先日の県労働組合総連合と自治体労働組合総連合の申し入れに県も、「強制はしない」「取得しなくても職場での不利益は生じない」と答えています。このことを県庁内と市町村に、文書などで十分周知することを要望したいと思います。経営管理部長の答弁を求めて、私の質問を終わります。(経営管理部長)

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