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9月定例県議会予算特別委員会(9月26日)、津本県議の質問

津本二三男

問1.県地域防災計画について

今回の台風によって、千葉県では、屋根が飛ぶなど、1万軒を超える住宅損壊などの被害が広がったと報じられています。その上、大規模・長期間の停電が重なり、断水も長期化、医療機関や介護施設などの機能が低下、携帯電話やネットなどの通信機能が停止し、被災実態の把握や支援情報を住民に伝えることに困難が生じるなど、社会・経済生活の機能が長期にわたって失われ、被害が拡大したと理解しています。昨年9月には、北海道で、地震被害と同時に、北海道全域が停電するという「ブラックアウト」が発生。被害をできるだけ減らすために、これまで「想定外」とされていたことも、「想定」しておくことが必要と感じています。そこで、今回の千葉県の災害を教訓に、被災と同時に、大規模かつ長期間の停電が発生することを想定し、県の地域防災計画を再点検する必要があると考えますが、いかがでしょうか。(危機管理監)

問2.生活保護について

生活保護については、悪質な事例について、いろいろキャンペーン的に報道されることがあります。こうした悪質な受給者は許されるものではありません。しかし、それはごくごく一部であり、そのことを理由にして、本来、必要な人たちの保護までをも抑え込むようなことがあってはならないと考えています。非正規雇用や貧しい年金のもとで、貧困あるいは貧困と隣り合わせの生活を強いられている世帯が少なくありません。セーフティネット機能がしっかり働く富山県になることを、私は願っています。

そこで、以下の点について、お尋ねいたします。

(1)福祉事務所の窓口対応について

ア)県内であった2つの事例について、お聞きしたい。

(1)今年7月に、北陸中日新聞の1面で報じられた事例です。それによれば、社員寮付きの警備会社で働いていたが、「向いていない」と解雇された。寮を追い出され、住むところがないため、ネットカフェでしのいでいた。しかし、そこも入店拒否で入れなくなった。そこで、生活保護を受けようと市役所に行ったが、そこで言われたのは、「まずは、住所を用意してください」ということだったと報じられています。(2)の事例です。50歳の方ですが、仕事ができず、収入も全くなくなった。知人に生活保護を勧められ、市役所に行った。しかし、そこで言われたのは、「田があると受けられない。まず田(1町)を処分してから来なさい」と言われた。これらは、生活保護の申請権の侵害にあたるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。(厚生部長)

イ)窓口対応の改善について

今年6月の厚生環境委員会で、「福祉事務所に対し、生活保護の相談にあたっては、申請権を侵害しないことはもとより、疑われる行為も厳に慎むというような指導をしてきている」との答弁をいただきましたが、窓口における申請権の侵害をなくすために、さらなる取り組みが必要と考えます。いかがでしょうか。(厚生部長)

(2)「生活保護を受けるのは恥だ」という意識=スティグマについて

「生活保護の捕捉率」というのがあります。生活保護基準以下の世帯のうち、実際に生活保護を受給している世帯は、何%なのかというものです。研究者によって、全国の都道府県別の捕捉率が推計されています。これによると、2012年の富山県の生活保護捕捉率は6・5%。全国最低となっています。富山県は、なぜ低いのか?その要因の1つが、この「スティグマ=恥の意識」だと思っています。生活保護を受けるのは恥ずかしいこと――そういった意識から、生活保護の相談にいくこと自体をためらう。そんな傾向が強いのではないかと思っています。この、スティグマに関して、国連の社会権規約委員会は2013年、日本政府に対して、「公的福祉給付(生活保護)に付随した、スティグマ(恥の意識)を解消する目的で国民の教育を行うよう」勧告しています。そこで、生活保護がセーフティネットとして、憲法25条にもとづく国民の権利であることを明らかにし、制度を積極的に広報、周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。県の認識とあわせ、知事にお尋ねいたします。

(3)福祉事務所が出している「生活保護のご案内」及び「生活保護のしおり」について

県と呉西4市のこれらのパンフレットを取り寄せて、読ませていただきました。その中には、土地、家屋、自動車などは「原則として、…賃貸、売却をするなど活用を図ってください」とあります。間違ってはいませんが、これら資産を売却しないと生活保護を受けられないとの誤解を与えかねないものと感じています。修正を求めたいのですが、いかがでしょうか。また、生活保護のなかで支給される、通院・通所などに要する交通費=移送費を知らない人が少なくないと感じています。移送費の明記を徹底すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、生活保護は権利なんだということをしっかり明記していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。(厚生部長)

(4)生活保護世帯の子どもの大学進学について

現在、「保護世帯の子どもは高校を卒業したら働いて稼ぐべき」との考えから、保護を利用しながらの、大学進学を認めていません。もし、大学に進学すれば、母と子の2人暮らしでも、「世帯分離」をし、その子の生活保護費を打ち切ることになると理解しています。そのことによって、家計が苦しくなることを心配して、進学をあきらめる子が少なくないと言われています。そして、そのことによって、貧困の連鎖がつながっていくと指摘されています。そこで、貧困の連鎖を止めるためにも、生活保護世帯の子が大学等に進学すると、おこなわれる「世帯分離」をやめるよう、国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。(厚生部長)

(5)国の給付型奨学金制度について

これまで、給付型奨学金の対象者は、住民税非課税の世帯に限っていましたが、来年度4月に進学する学生から対象者が拡充されると理解しており、期待しています。県内における今年度の受給者数と、来年度入学者に係る受給者数の見込みはどうか。教育長にお尋ねいたします。

問3.住まいのセーフティネットと県営住宅について

(1)民間アパート入居者の家賃債務保証について

民間アパートなどに入る時はもちろん、契約を更新していく時にも、保証人が必要とされます。たとえ本人に一定の収入があったとしても、この保証人を用意できなければアパートなどに入居することはできません。最近の生活相談において、この保証人にからんで、解決が困難なケースを相次いで経験しました。そのうちの1つは次のようなものです。民間アパートに住む60歳女性。これまでの保証人は認知症で継続できなくなり、あらたな保証人を求められている。しかし、本人は60歳。両親はすでに故人。一人っ子で兄弟いない。結婚せず子もいない。頼る人は叔父だけだが年金暮らし。連帯保証人となってもらえる人がいない。こうしたケースは、少なくないと思っています。そこで、連帯保証人を、用意することが困難な入居者に対し、家賃債務保証を提供する、「居住支援法人」という制度があります。これは、「改正住宅セーフティネット法」に基づく制度で、知事が指定し、法人の業務に対し1000万円を限度に、全額を国が支援するというものと理解しています。県として、推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。(土木部長)

(2)県営住宅の保証人について

現在、県営住宅は、入居者に保証人1人を求めています。そして保証人には、印鑑証明と所得証明書の提出を求めています。しかし、国土交通省は昨年3月、公営住宅管理標準条例案を改正して、保証人を不要にしました。それは何故か?通知文書によれば、「住宅に困窮する低額所得者への住宅提供という公営住宅の目的を踏まえると、保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要であり、保証人の確保を公営住宅への入居に際しての前提とすることから転換すべきであると考えます。このため、標準条例(案)を改正し、保証人に関する規定を削除することとしました」というものです。その通りだと喜んでいます。県営住宅は、住まいのセーフティネットそのもの。保証人を不要とすることを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。(土木部長)

(3)県営住宅における多文化共生について

太閤山の県営住宅には、約830戸、町内会は6つあります。先日、その町内会長さんたちと意見交換する機会がありました。話題になった中の1つは、ブラジル人、中国人など、外国人の入居が増えてきている。その中で、町内会との間で摩擦を生じているということです。例えば、共益費・町内会費をもらえずトラブルになる。県営住宅では1階段1班体制となっており、外国人が班長さんになることもあるが、班長会には出てもらえない。ごみの出し方。指定されたゴミ袋で出すことを理解してもらえない。分別の仕方も理解していない人が少なくない。また、深夜12時に友達が集まり騒ぐというのもありました。意見交換のなかでは、「国の文化の違い」ということも話になりました。深夜の12時に騒ぐのは、その国では「断食明け」した時の習慣らしい。その国に、そもそも「町内会」とか「ゴミ袋を買う」、「ごみを分別して出す」とかという文化、習慣がない。だから、なかなか理解が得られないのではないか、というものです。多文化共生の地域づくりについて、これまでもパンフレットなどで、啓発に取り組んでこられたと思います。しかし、現状を見るとそれだけでは進まないと感じています。相談を受け、ともに考え、ともに行動して解決にあたる、人の体制が必要ではないかと感じますが、いかがでしょうか。(土木部長)

問4.二級河川前田川の整備について

前田川については、上流、あと約80メートルを残して暫定的に完了とし、計画された断面が確保されないまま、長年にわたって放置状態にあります。いっぽう、コストコへの通路である高速道路のアンダー箇所と、周辺の水田で、豪雨時、雨水を吐ききれずに、冠水を繰り返していることから、射水市において、前田川の上流にあたる、市が管理する準用河川の整備が検討されています。当然に断面確保のため、下流にあたる前田川の未整備区間の改修が不可欠であると考えますが、どのように認識されているのか。(土木部長)

問5.2020年度から始まる「大学入学共通テスト」での英語民間試験について。

現在の高校2年生が受験する2020年度の入試から、現在の「大学入試センター試験」は大学入学共通テストに代わります。そこで新たに導入されるのが英語民間試験。ベネッセや英語検定協会など6つの民間業者の英語検定を利用するとしています。どの民間業者の英語検定を受けるかは受験生が選び、検定料は自己負担、高校3年の4月から12月の間に2回まで受けることができるとしています。そこで、以下の点について、お尋ねします。

(1)富山県の子は大丈夫か?

6民間業者がおこなった英語検定での各成績は、英語力の国際標準とされるCEFR(セファール)に当てはめて、低いほうから、A1、A2、B1,B2、C1、C2という、6段階で評価されます。その成績が各大学に提供され、合否判断に使われると理解しています。さて、「ベネッセ」と「英語検定協会」の2つの民間業者による検定は、富山県などすべての都道府県で行われます。しかし、評価は「C1段階」が最高となります。その上の、最高評価である「C2段階」に挑戦しようとすれば、「ケンブリッジ英語検定」か「IELTS(アイエルツ)」の検定を受けなくてはなりません。しかしこれらの検定会場はほとんどが都市圏。1回の受験料が約2万5千円。さらに、地方から出かける交通費、宿泊費もかかり、経済的に大きな負担がかかることになります。さらに、都市圏の子たちは、慣れるために、本番前に練習用として受けることもできますが、地方の子たちには困難です。公平であるべき大学受験に、地域的な格差、経済的な格差が生じると心配していますが、どのように認識されているのか。(教育長)

(2)民間試験の利用中止、制度の見直し、について。

公平性・公正性の確保が担保されていない。地域格差、経済格差などの諸課題で、解決する見通しが立っていない――などとして、全国高等学校長協会は、今月9月10日、文科省に、英語民間試験の利用の延期、および、制度の見直しを求めました。ちなみに、学校長協会がおこなったアンケートでは、全国の高校の約7割が延期を求めているとのことです。また、朝日新聞と河合塾が、今年6~7月に、高校4686校、大学761校を対象に共同調査をおこないました。民間試験を活用することについて、「問題がある」と回答したのは、高校の主に進路指導担当者の89%、大学の入試担当者の65%だったということです。このように、受験する子たちを案じ、高校、大学のいわば当事者の双方で、これだけの懸念や不安が広がっています。このような状況で見切り発車をしてはならないと考えます。英語民間試験の利用を中止し、教育現場や専門家の意見をよく踏まえて、制度の見直しをするよう、国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。(知事)

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