津本二三男
問1 乳幼児医療費助成について
富山県の医療費助成は、通院が「3歳児まで」、入院は「就学児まで」であり、平成30年度の決算額は約3.9億円だった。
いっぽう、県内の市町村は、子ども医療費を「中学卒業まで」あるいは「高校卒業まで」無料化をして、子育て応援をしている。その財政負担はどれほどだったのか?ザックリとした計算だが、県の医療費助成分も含めたもので、37億円を上回っていたものと推測している。県の決算額の10倍。大変重い財政負担をしながらも、県内市町村は懸命に子ども医療費無料化の制度を維持している。
子育てに最も身近な市町村が、「安心して子供を産み育てることができる環境」づくりを、さらに進めることができるように、県として乳幼児医療費無料化の対象年齢を拡大し、市町村を応援すべきだったと考えるが、いかがか。(知事)
・「とやまっ子子育て応援券」の決算額は約1億8百万円。
・乳幼児医療費助成3.9億円とあわせても約5億円。
問2 西部水道用水 供給事業について
言うまでもなく、水道事業は命にかかわる事業であり、安全な水を安定して供給する努力が求められている。同時に、人口減少社会に対応する努力も重要になっていると考えている。人口が減っていけばいくほど、施設を維持していくための住民1人あたりの負担が大きくなっていく。
このことから、住民負担の増大を抑えていくために、人口減にあわせ受水団体の負担も軽減していく、そういった努力が求められていると考えている。それを踏まえ、以下の諸点についてお尋ねする。
(1)水道事業の純利益について。
平成30年度の水道事業会計決算では、3.1億円の黒字=純利益が発生した。
この黒字は、全ての施設の原価償却費をはじめ、この年度に発生した全ての費用を計上したうえでの結果であり、受水団体(4市)から料金を取り過ぎていたことを示すものと理解している。受水団体からの料金収入は16.3億円。この黒字額3.1億円は、その約2割にあたる。
平成13年度からの18年間の決算結果も見た。特別な事情があった平成27年度を除き、すべての年度で黒字であり、黒字額も2億円台から3億円台へと大きくなってきている。
いうまでもなく、県の水道事業は儲けを目的にするものではない。水道料金の値下げを検討すべきと考えるが、いかがか。(公営企業管理者)
あわせて、未処分利益剰余金は、今回発生した黒字3.1億円をふくめて6.3億円になっている。それを処分するとして、そのうちの3億1400万円を建設改良積立金に積立てる、3億1500万円を資本金へ組み入れるとしている。
そこでもし、今後の設備更新や耐震化により減価償却費が膨らみ、単年度損益で赤字が発生するようなことがあった場合、この建設改良積立金あるいは組入資本金を取り崩して、水道料金の値上げを抑える考えはあるのか。(公営企業管理者)
・値下げがもっともよい。
・値下げをしないのなら、値上げを抑える財源として使えるように「未処分利益剰余金」のまま残す。
・「建設改良積立金」がそれと同じ役割を果たすのならOK。
(県の言い方に惑わされない!)
・「施設更新や耐震化に使うから…」というが、だからと言って、利益剰余金(黒字)をわざわざ「組入資本金」や「建設改良積立金」に移動する必要はない。「利益剰余金」のままでも施設整備に使い、資産(施設資産)として残せばよい。
(2)今後の施設更新や耐震化にあたっての課題。
平成30年度水道事業報告書によれば、西部水道用水供給事業の給水実績は約9.6万㎥。いっぽう、給水能力は日量約13.5万㎥あるとのこと。
現状でも、水の実際の必要量に比べ、施設規模が大きすぎる状況になっている。さらに今後は、人口が減少し、水需要も減少していくものと理解している。
住民の水道料負担をできるだけ抑えていくために、今後の施設更新や耐震化にあたっては、人口減少社会も踏まえ、身の丈に合った規模に縮小することを検討すべきと考えるが、いかがか。(公営企業管理者)
(3)境川ダムについて。
水が過剰であることから、境川ダムの水は、和田川浄水場の水源として一部を使用しているものの、多くは給水用として使用はされていない。
そうした状況にかかわらず、境川ダムの建設費負担を、減価償却費という形で、給水料金に上乗せをし、受水団体に求めている。
住民からみて、水を受けてもいないダムのために、その建設費負担金を、水道料金を通して払わせられる―このようなことは納得できないことだと考える。
このことを表明した上で、次の点についてお尋ねする。
決算によれば、境川ダムの減価償却費、年約2億円について、全額を県西部の受水団体(4市)で負担していくものになっている。
しかし、受水団体側の意思だけで水需要の将来予測をおこない、ダム建設を進めることができたとは思えない。県の助言があったからこそ進んだものと思っている。過大なダム建設について、県にも責任があると思っている。
境川ダムの減価償却において、水源として使われていない部分については、県も一定の負担をすべきではないかと考えるが、いかがか。(公営企業管理者)
・3つの水源。(単位日量)
和田川・境川(7.5万㎥)+小撫川(6万㎥)=13.5万㎥。
給水実績(9.6万㎥)しか使われていない。
そのうえに、境川(11.5万㎥)。
問3 教職員定数について
臨時任用講師の不足が深刻となっている。臨任講師の応募が少ない要因の1つは、何といっても教職員の多忙化であり、その解消は喫緊の課題となっている。
決算のこの年、県は市町村立学校の県費負担教職員の定数を43人減らした。しかし、逆に、多忙化解消にむけて、教職員の定数を増やす必要があったのではないか。国が定数を改善しないのであれば、県単独での正規職員の確保も必要だったのではないかと考えるが、いかがか。(知事)
問4 ALT(外国語指導助手)の採用について
県内すべての市町村でALTの配置が進んでいます。平成30年度の県内小中学校でのALT配置状況は、総数で163人。そのうち、JETプログラムのALTは25%の41人だったと理解しています。
JETプログラムのALT(外国人)とは、国際交流の観点から政府が推奨しているもので、地方交付税による支援があり、市町村の負担は生じないものとなっています。それにもかかわらず25%の採用にとどまりました。一方、民間事業者が派遣する外国人ALTは72人。JET-ALTより30人多い採用となっています。
市町村にとって、1人に付き約500万円の財政負担がかかります。それにも関わらず、何故、JET-ALTではなく民間事業者なのか。
複数の市に事情をうかがった。次のように理解しています。
第1の要因は、ALT本人に資質や指導力の点で問題があった場合の、代替要員の手配の問題です。民間事業者の場合、速やかに代替要員が手配されるのに対し、JET-ALTでは、数か月かかります。代替要員が来なければ、予定されている授業に穴があくということであり、教育の観点からみて、私は致命的だと思います。
第2の要因は、外国人ALTへの生活支援体制です。日本語が分からずコミュニケーションがとれないことから、病院の付き添い、近所とのトラブルの対応など、生活全般のサポートが必要となります。民間事業者の場合、担当者が配置されすべてをサポートします。しかしJET-ALTでは、自治体の職員が、通常の業務をこなしながらその役割を果たすことになり、大変苦労しているのが実態です。
国に対し、JET-ALTの改善を求めるとともに、改善されるまでは、市町村の民間事業者ALTの採用に対し、補助を検討すべきではないか。
また、来年度から、小学5・6年生の英語は教科となります。ALT事業は、国際交流のためというよりも、英語教育充実の観点から実施することが重要になっており、教育委員会が所管すべきと考えるが、いかがか。(教育長)
問5 県営住宅について
県営住宅維持管理費の平成30年度決算は、県営住宅の家賃収入と維持管理費を比較すると約3億円の黒字となりました。さらに、表にはあらわれていませんが、地方交付税において3億円余が財源保障されています。維持管理への支出を増やしてもよかったのではないかと考えています。
入居率は82%にとどまっている。県営住宅の入居者の住環境の改善など、維持管理にこれまで以上に取り組むとともに、保証人を不要とし入居しやすくすべきと考えるが、いかがか。(土木部長)