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2月予算特別委員会質問(2月16日)、津本県議の質問

2021年2月16日 予算特別委員会質問

県議 津本二三男

問1 PFIについて

PPP/PFIについては、射水市で次のような経験をしています。公共施設を大和リースが建設し、射水市が30年間借りるというものです。射水市が30年間に支払う賃料は24億2千万円。いっぽう、射水市が同様の施設を建てた場合、10億9千万円にしかならないことが明らかになりました。もちろん建設費、30年間の維持管理費・修繕費を含めての計算です。その時はPPP/PFIは財政負担が大きいと判明しましたが、公共スペースと民間スペースがある複合施設として提案されていればチェックもなく気が付かなかった可能性もあったと思っています。
もう一つ紹介したいものがあります。PFIの発祥国イギリスの会計検査院が2018年1月に報告した次のようなレポートです。「英国が25年もPFIを経験しているにもかかわらずPFIが公的財政に恩恵をもたらすという証拠が乏しい」と結論付けをし、その上で「多くのPFIプロジェクトは通常の公共入札のプロジェクトより40%割高」、「コスト削減効果もなく透明性も悪化」しているというものです。ヨーロッパ会計監査院も「指摘された問題点が改善するまでPPPを広い分野で集中的に使うべきではない」と勧告しました。
こうしたPFI先進国の報告をどう受け止めているのか。経営管理部長に所見を伺います。
(経営管理部長)

PFIは地元企業の参入も難しく経済的にも優位とは言えません。富山県武道館や高岡テクノドーム、新川こども屋内レクリエーション施設の整備にあたってPFIの導入の可能性を調査するとしていますが、採用しないとの選択肢も示して検討すべきと考えますが知事に所見を伺います。
(知事)

問2 国民健康保険について

(1)子ども均等割保険料の軽減について
政府は今国会に、未就学児の子どもについて、国民健康保険料の均等割を2分の1に軽減する法案を提出しています。このことは私たちも求めてきたことであり一歩前進と喜んでいます。そこで、県内における対象人数と軽減額についてどの程度見込んでいるのか厚生部長にお尋ねします。
(厚生部長)

一昨年の6月定例会での一般質問でも言いましたが、国民健康保険では子どもが多くなればなるほど保険料が重くなるという問題があります。1人につき約3万円の均等割保険料がかかるからです。組合健保や協会けんぽなど他の医療保険ではこのようなことはありません。その時の部長答弁は「全国知事会と連携し(改善を)国に対して要望」するというものでした。今回の改善はこうした「均等割りは、少子化対策に逆行する」といった地方からの指摘を認めた形です。しかし、今回の改善でも「少子化対策に逆行する」という状況は変わりません。未就学児という狭い対象ではなく高校卒業までの拡大が必要です。また2分の1軽減では、重くなる程度が軽くなるだけで重くなることには変わりません。全額減免が求められます。軽減措置をさらに拡充するよう国に働きかけるとともに、県単独であっても軽減措置の拡充を実施すべきだと考えますが厚生部長の所見を伺います。
(厚生部長)

(2)国民健康保険料(税)の軽減について。
事例を紹介します。年金が月額で11万円余り、新聞配達で10万円ほどの計21万円余りの収入があった方です。高齢で足が痛くなり昨年2月に配達をやめられました。貯金もなく4月からは市民税、国保税などの支払いが困難になってしまった。市民税には市の減免要綱があり減免を受けられたが、国保税では受けられなかったということです。国保料はとても重い保険料です。そして昨年の収入に基づいて保険料が算定されます。そのため収入が激減した時点でとても払えない状況に追い込まれてしまいます。そのこともあって倒産、解雇、雇い止めなどによって離職し収入が激減した場合には、国の制度として前年の給与所得を100分の30と見なして、国保料の軽減がおこなわれています(2010年4月から)。しかし、病気や先ほどの体調による離職の場合にはこれは適用されません。改善が必要と考えます。制度の拡充を国に働きかけるとともに県単独であっても軽減を実施すべきだと考えますが厚生部長の所見を伺います。
(厚生部長)

問3 西部水道用水/供給事業について

(1)基本水量の見直しについて。
新年度予算において、受水団体の基本水量を2年間前倒しして6%減量するとしており大変喜んでいます。受水団体から強く要望があったとのことであり、私も2019年11月の決算特別委員会で、水道事業は大幅な黒字であり水道料金の引き下げで受水団体の負担を軽減するよう求めていました。そこで、関係4市の負担はどの程度軽減されるのか、4市それぞれの負担軽減額と合計額はどうなるのか、公営企業管理者にお尋ねします。
(公営企業管理者)

(2)境川ダムの未利用水の暫定利用について。
西部水道用水供給事業は水源として3つのダムを持っています。その水量は合計して日量25万立法メートル。一方、給水実績は約10万立方メートル。水源ダムは給水実績の2・5倍というあまりにも過大なものとなっています。とりわけ境川ダムは日量19万立方メートルのうち、半分以上の11.5万立方メートルが未稼働分としてまったく使われていません。県西部4市の住民は現在でも、これら過大なダムの減価償却費、維持管理費を水道料金で払っていますが、人口が減っていけばいくほど一人あたりの負担は大きくなっていきます。市民の負担軽減のため過大な水道水源のダウンサイジング=縮小が課題と考えています。
そこで、境川ダムの未利用水についてです。当局はH29年度に小水力発電への利用ができないか暫定利用を検討したが、採算があわず困難との結論だったとされています。しかし、あきらめずにさらに検討を進め可能性を追求してほしいと考えます。いかがでしょうか公営企業管理者に所見を伺います。
(公営企業管理者)

問4 気候変動対策について

IPCC報告書は、気温上昇「1.5℃以内」を実現するためには温室効果ガスの排出削減のスピードを上げなくてはならない、「2030年までに2010年水準から45%削減」する必要があるとしました。温室効果ガス排出を削減する意欲的な取り組みが求められています。それを踏まえ3点お聞きします。

(1)建物のゼロ・エネルギー化について。
建物のゼロ・エネルギー化とは、文字どおり消費するエネルギーがゼロの建物ということです。基本的な考え方は、①建物の断熱対策を施し、省エネの電化製品を使うことによって消費するエネルギー量を減らす、②太陽光やガスによる発電などで敷地のなかで再エネを作り出す、③こうした省エネと再エネで年間のエネルギー消費量収支をゼロにするというものです。勉強して驚いたことですが、高い断熱効果のあるガラスやサッシ、壁、床など、現在すでにある技術を活用することで、一般住宅やオフィスビルなどの多くの建物で直ちにゼロ・エネルギー化の取組を行うことができるとのことです。国ではすでにZEH(ゼッチ)という新築のゼロ・エネルギー住宅に対する補助制度をつくっています。東京都でも建物のゼロ・エネルギー化を2019年に策定した「ゼロエミッション東京戦略」の大きな柱の1つとしました。県としても建築物のゼロ・エネルギー化に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。知事の所見を伺います。
(知事)

県が今後、整備する施設についてはゼロ・エネルギー化を目指すべきと考えますがどうでしょうか。現在計画されている富山県武道館などの整備にあたってこの視点は入っているのか、生活環境文化部長にお尋ねします。
(生活環境文化部長)

(2)既存の建物の断熱対策について。
新築の建物だけでなく既存の建物の断熱対策、省エネリフォームも重要だと考えています。この面でも研究や技術がすすんでおり、大がかりでなく手軽な工事でできるようになっているとのことです。例えば、部屋の窓は内側に新しいサッシを追加して二重窓にする。工事に1時間もかからない。空気は熱を通しにくいため二重窓は断熱効果が高いそうです。また、外壁は断熱性が高い新たな壁を外側に貼るなどをして解体なしでできるとのことです。このような既存建築物の断熱対策について、専門家は「短期間で実施でき、かつ経済効果が大きく、省エネ対策として最も優れている」としており私は注目しています。すでに国は既存住宅の断熱対策、省エネ対策として、4つの支援制度をつくっています。そこで、その中の1つ、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について県内における実績はどうなっているのか。土木部長にお尋ねします。
(土木部長)

(3)県内において、今ほどの建物の断熱対策など省エネ化を広げることが重要と考えますが、どのように取り組むのか。土木部長に所見を伺います。
(土木部長)

問5 地震と防災対策について

2月27日に、「富山大地震に備える」という竹内章・富大名誉教授の講演を聞いてまいりました。教授は富山県の活断層について現時点での知見を紹介されるとともに、危機意識が大事だと言っておられました。私は自らの危機意識の足りなさを反省しながら聞いていました。
ザックリと紹介しますと…。富山県は、地震を起こす可能性の高いSランク、Aランクの断層で占められている。このような県は他にはない。さらに1854年に南海トラフの「南海大地震」が起きた時、その4年後に鳶山(とんびやま)が崩れ富山県内に大きな被害をだした「安政の飛越大地震」がおきた。このように「太平洋側の海溝型巨大地震」と「日本海側の内陸にある活断層による大地震」は連動する、誘発されて動くことも踏まえなければならない。南海トラフによる巨大地震はいつ起きてもおかしくない状態にある。その巨大地震が起きれば、県内にも震度5以上の揺れがあり大きい被害が出るおそれがある。さらにそれに連動して、呉羽断層あるいは石川県の森本・邑知潟断層が動くことにも備えなければならない。いずれも大きな被害が発生する。いつ起きるか分からない地震の危険は富山県も例外ではない、というのが私の受け止めです。
その講演を踏まえ、以下3点についてお尋ねします。

(1)地震・津波に対する危機意識について。
地震、津波、豪雨、台風など災害を警告する情報はたくさん流れるようになりました。しかし、実際に避難しようとするスイッチ=避難スイッチが入らない。避難しないで済ましてしまおうとする人が少なくない。これが、東日本大震災の教訓の1つでもあるとのことでした。災害警報が自らの行動にリンクするかどうか。ここには危機意識があるかどうかにかかっているとのことです。県民にしっかりとした危機意識をもってもらう必要があると考えます。
また、そのためにも県が率先して危機意識を持つ必要があります。しかし、この後に取り上げる「防災士養成の取り組みの遅れ」、「活断層の被害想定の遅れ」などから県の危機意識に疑問を感じています。さらに先日、安達委員も触れられた「富山県企業立地ガイド」では、富山県を「地震の発生も非常に少なくリスク分散に最適な安全、安心な地域」と紹介しています。しかも「新田知事あいさつ」の中で、知事自らの言葉として出てきます。これでは県庁全体に危機意識というより、災害に対する備えをさほど重視しないといった逆の意識を広げるのではないか、と心配しています。地震発生の最大のリスクを率直に伝え県民に危機意識をもってもらうとともに、県としても率先して危機意識を強く持つ必要があると考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。
(知事)

(2)防災士の養成について。
災害級の地震があった場合、どう行動すればよいのか。それぞれの地域によって違ってきます。近くに断層があるのか、液状化はあるのか、避難ルートの近くに溜池などがないかなど、平時から地域のチェックを進め、かつ住民の危機意識を高める。こういったことは防災士(防災のリーダー)がいないと進みません。しかし、防災士の登録者数は石川県約7300人、福井県3500人に対し富山県は1700人と遅れています(2021年2月末)。せめて1町内会に1人くらいは必要と考えます。さらに石川県では防災士養成研修会に中学生が多く来る、女性も来る、会社や事業所からも来るとのことです。地域だけでなく学校や保育所、企業、事業所においても防災士が必要と考えます。防災士養成を被災の備えとしてできるだけ急ぐ必要があると考えますが、どれくらいの規模の養成を目指しているのか、危機管理監にお尋ねします。
(危機管理監)

(3)活断層の被害想定について。
6年前に射水断層と高岡断層が新たに活断層とされました。射水断層は水戸田・串田を通り砺波のほうに走るもので、近くに多くの集落があります。高岡断層は瑞龍寺、あいの風とやま鉄道高岡駅、富山県高岡文化ホールの近くを走り市街地の中を縦断しています。そして魚津断層。この3つの断層については今も被害想定がおこなわれていません。
「被害想定」は、「県土強靭化」に取り組む前提です。この調査によって地域の弱いところ、強化すべきことなどを洗い出すことができ、その対策(強靭化)に取り組むことができます。放置したままであってはなりません。早急に行うべきではないでしょうか、危機管理監にお尋ねします。
(危機管理監)

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