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2月定例会 反対討論、津本県議の質問

令和3年2月定例会 反対討論

県議 津本二三男

日本共産党の津本二三男です。

今定例会に知事から提出された議案のうち、日本共産党として、議案第6号 令和3年度富山県一般会計予算、議案第25号 令和3年度富山県工業用水道事業会計予算、議案第31号 富山県職員定数条例一部改正の件、議案第62号 市町村立学校県費負担教職員定数条例一部改正の件の4本の議案に反対の立場から討論をいたします。

今回の予算案において、県が国より2年先行して35人学級を拡大することを歓迎しています。毎年毎年、署名を集め県議会に請願し続けてきた保護者、教育関係者のみなさんとともに喜びたいと思います。

さらに、女性副知事の登用、西部水道用水供給事業における受水団体の契約水量の6%引き下げ、DV民間シェルターへの支援を創設、スクールサポートスタッフをすべての学校に配置、スクールソーシャルワーカーの派遣時間を倍化、中山間地域対策の強化とコンシェルジュを4人に増員、あいの風とやま鉄道駅のエレベーター設置を補助、そして、それぞれの地域課題の予算化など、県内各種団体の皆さんと一緒に要望してきた課題も多くが盛り込まれており歓迎しています。

しかし、以下の理由で、4つの議案に反対するものです。

1点目は、デジタル化推進にともなう懸念です。

デジタル庁の創設をめざす政府予算の動きにも連動し、デジタル化関連予算の新規事業が多く盛り込まれています。しかし、行政が進めるデジタル化はあくまでも県民の利便性向上が目的でなくてはなりません。

国や自治体は国内最大のデータホルダーです。その個人情報を、民間企業が様々な手口を使って手に入れようとしています。一昨年、リクルートキャリア社の「リクナビ」が、就職活動をしている学生の閲覧履歴などから、学生の内定辞退率を勝手に算出し、採用企業に販売していた問題が発覚しました。また、直近では、日本で8600万人が利用するLINEにおいて、利用者の個人情報が中国企業から閲覧できる状態になっていたことが明らかになり、情報漏えいや流用があったのではないかと懸念されています。こうした事態を防ぐ手立てが必要です。デジタル化推進にあたっては、個人情報やプライバシーの保護を抜本的に強化することが必要です。県の個人情報保護条例についても強化が求められます。

しかし、菅政権が提出している「デジタル関連法案」では、「個人情報保護」の位置づけが弱く、個人の情報やプライバシーの保護よりもIT企業によるデータ利活用のほうが優先される社会になるのではないかと懸念を抱いています。

また、政府が整備する「ガバメント・クラウド」を、国の省庁だけでなく、全国の地方自治体も使うこととしています。地方が、独自の施策を行うために、クラウドの「標準パッケージ」をカスタマイズしようとすれば、大きなコストがかかると言われており、住民の声で動くはずの「地方自治体」が、「自治体」でなくなっていくのではないか、と懸念しています。

そしてまた、IT関連企業と行政との癒着にも厳格な対応が必要です。その点で新年度、県がNTTドコモ社員を在籍のまま課長職に採用しようとしていることには同意できません。その職員は任期後にはNTTドコモに戻ることになるでしょう。菅内閣も今年9月に発足させるデジタル庁の500人規模の職員のうち100人以上を民間企業と兼務の職員をあてようとしています。国民の利益や、県民の利益よりも、特定企業の利益を優先するような政策の推進、特定企業に都合のよいルールづくり、など新たな官民癒着の危険を感じます。

社会のデジタル化が進むなかで、県庁や県職員が変わらなければならないところもあるでしょう。しかし、県民に奉仕する姿勢、透明性・公平性といった行政として変わってはならないところもあります。優れたITスキルを保有する外部人材を確保する場合にも、慎重な対応が必要だと考えています。

また、マイナンバー取得促進経費にも同意できません。

反対理由の2点目は、民生費です。

社会保障の充実に充てるとして消費税が10%に増税されて2年目の当初予算になります。しかし、県民の暮らしを支える民生費は昨年の1.1%に続き今回も3.2%の伸びでありほぼ横ばいにとどまりました。国税・地方税、そのうえに消費税を納める県民からみて納得のいかないものです。

そのなかでも、乳幼児医療費助成について触れておきたいと思います。

富山県は、入院は就学前、通院は3歳児までになっており、対象年齢でも予算規模でも全国の都道府県の中で最下位のクラスになっています。私も射水市で長らく議員をさせていただいき、その中で求めてまいりましたが、県内の市町村は対象を中学生まであるいは高校生までにするなど、ずっと先を走っています。この市町村の頑張りを支え、子育て世帯にとって最も身近な市町村がさらに子育て支援に取り組めるように応援することが必要です。今後の拡充を強く要望するものです。

反対理由の3点目は、新型コロナウィルス感染対策の取り組みです。

重症化リスクのある介護施設などを新型コロナウィルスから守ることは、感染対策として極めて重要です。しかし、そのためのPCR検査等を県として行おうとはしていません。介護施設任せ、事業者の自己責任で済まそうとしています。このような感染防止を県民や事業者の自己責任で済まそうとするスタンスでは、ウィルスに打ち克つことはできないと考えております。

4点目は、教職員の削減です。

教員の多忙化解消は喫緊の課題となっています。その解決にあたって最も重要なのはやはり先生の数を増やすことです。しかし、提案されている条例改正案では正規教員を県立高校などで34人、市町村立小中学校などで24人減らすものとなっています。子どもが減ることによる教員の減員分は、県単独としてでも確保し35人学級の取り組みと同時に多忙化解消のための加配教員として手当すべきです。

5点目は、富山市の中心市街地再開発補助金です。

再開発ビルでは今も空き店舗のままになっている、テナント料は高額で地元のお店はなかなか入居できない、周辺の商店にも恩恵はなく多くでシャッターが閉まっているとの指摘もされています。今回の予算には5カ所の再開発事業への補助金約46億円のうち、新年度分として4カ所3億5900万円が計上されています。高層マンションなど東京に本社がある開発業者などが主導する再開発事業に県から巨額の補助金を出す必要があるのかと考えます。

6点目は、利賀ダムです。

予算案には直轄事業負担金として11億1,200万円が計上されています。工事用道路の建設には賛成ですがダム本体の建設には同意できません。ダムの建設予定地は地滑り危険区域です。ダム湖をつくって、すべり面に大量の水を供給することは極めて危険です。近年、台風による豪雨災害が全国で相次いでいます。効果が限定的なダムよりも効果が確実な庄川河川の改修、堤防強化などを急ぐべきです。

また、工業用水道事業会計からも、利賀ダム建設費負担金約2,700万円を拠出することとしていますが、工業用水は決して不足しておらず拠出する道理もありません。

県政の一番大事な仕事は、県民に寄り添い、県民の福祉の増進を図ることにあります。日本共産党は、これからも県民の立場から提言をしていくことを最後に表明し、反対討論といたします。

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