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11月定例県議会報告 ひづめ議員(定例県議会・予算特別委員会)

11月定例県議会・予算特別委員会での質問のために

2021年12月8日 日本共産党・火爪弘子

(1)米軍戦闘機の低空飛行訓練について

10月16日と18日に、黒部ダム上空で目撃された米軍戦闘機の低空飛行訓練については、本会議でも質問がありました。知事は答弁で「11月15日の報道で初めて知った」「米軍側に16日に事実確認をしたが回答はない」と述べられましたが、危機管理に責任を持つ立場としていかがなものでしょうか。黒部ダム周辺は、わが県の大事な観光地です。目撃者もたくさんいるはずです。目撃情報では、戦闘機の数は少なくとも3機。「10機以上」との証言もありました。市民団体「低空飛行解析センター」によれば、戦闘機は米軍岩国基地所属の米海軍FA18スーパーホーネットと見られ、動画などの解析から、黒部ダムの堰堤から高さ117メートル、高さ145メートルなどを低空飛行したことが判明しています。これからも、県民に情報提供をよびかけるなど、しっかり事実確認を行うべきではないでしょうか。防災危機管理監にまずうかいます。

(防災危機管理監)

知事は記者会見で「二度とこういうことがないことを願っている」と述べられたとのことでした。戦闘訓練の爆音は映像を通しても衝撃的で、直接現場に居合わせた方々の恐怖はいかばかりかと思います。山岳関係者からは、ライチョウの生息に与える影響も心配されています。近くには、ドクターヘリのランデブーポイントもあります。11月30日には、米軍三沢基地のF16戦闘機が燃料タンクを上空から住宅地周辺に投棄するという事件が起き、青森県知事は米軍と防衛省に直接抗議しています。1990年の日米合意でも、米軍は「人家のない地域や水面上空から150メートル」との日本の航空法の最低安全高度を守ることを明記しています。県民の安全に責任を持つ知事が、今回の事態の危険性をどう認識されているのか改めてうかがいます。

(知事)

*今議会には、米軍に抗議するとともに、低空飛行訓練の中止と日米地位協定の改定を求める請願も提出されています。全国知事会とともに取り組まれることを改めて求めておきたいと思います。

(2)県内製薬企業の法令違反の再発防止について

廣貫堂など、最近の一連の法令違反の責任が当該企業にあることは明らかです。一方で、指導監督すべき県が、長年にわたる不適切処理をどうして把握できなかったのか。疑問は当然です。日医工の不正に関して、県の検査を検証した5月の調査委員会報告も「県の検査に問題はなかった」としつつも「日医工が10年前から実施していた不正を発見することができなかったことは事実である」として、抜き打ち検査の実施、内部告発窓口の周知、検査体制の強化などの再発防止策を示しました。ところが、その報告をうけて県が検査を強化したとたんに、法令違反、不適切事案が次々と明らかになりました。逆に言えば、県がこうした検査を厳格に緊張感を以前から実施していれば、今回の事態はなかったかも知れません。これまで無通告の立ち入り検査は、どの程度実施されていたのでしょうか。あわせて、厚生部長の見解をうかがいます。

(厚生部長)

富山県の製薬業者は、アメリカの製薬大手や先発薬大手企業優先の市場のなかで、急激な増産と欠品回避、きびしい検査基準が課せられてきたことが、5月の薬事審議会特別部会の報告でもわかります。それだけに、県が業界まかせではなく、しっかりしたとした自己分析と再発防止策を示さなくてはなりません。薬事審議会特別部会の報告は、主に日医工の不正の原因について検討されたものであり、その後の一連の法令違反発覚と大規模な自主回収については検討されていませんでした。日医工による不正の再発防止の取り組みの過程で起きている今回の事態の要因も、独自の議論が必要なのではないでしょうか。もちろん、医薬品の自主回収一般は「悪ではない」と言えるでしょう。しかし、法令違反を契機とした自主回収をそう表現することは適切ではないと思います。あわせて、知事の認識をうかがいます。

(知事)

(3)暮らしと県内産業への支援

原油価格の高騰が続いています。電気、ガス、食料品の値上げも続き、コロナ禍の収入減のうえに、暮らしはいっそう厳しくなっています。ウェルビーイングどころではありません。これを受けて政府は、低所得者のための福祉灯油や、介護・福祉施設の燃料代への支援を行った自治体に特別交付税措置を行うとし、新型コロナ対策臨時交付金も使えるとしています。報道の範囲でいえば、岩手県や鳥取県が福祉灯油の実施を決め、県内では魚津市、立山町などが低所得者に灯油代チケットを配布すると発表しています。県も市町村と協力して支援してはどうでしょうか。厚生部長にうかがいます。

(厚生部長)

2021年産米価格の暴落で、農家収入の激減が予想されます。県内の農業団体からは、現状では概算金の追加払いも見込まれず、「最終的には県全体で約50億円の減収となるのではないか」「作況指数99もふまえると県内コメ生産額451億円(平成30年)のうち80億円の減収となるかも知れない」との予測が寄せられています。大規模農家ほど減収は深刻で、離農の広がりも心配です。

9月議会の津本議員の質問に対する部長答弁でも、約35%の農家はナラシ対策や保険の対象にはならないということでした。県内でも、黒部市、入善町などでは独自支援を検討していると聞きました。全国的にも福島県が支援を決めるなど、少なくない自治体が「肥料代」「種もみ代」「土づくり対策費」などの支援を計画しています。富山県でも検討してはどうかと思います。農林水産部長にうかがいます。

(農林水産部長)

昨年の豪雪では、農業用ハウスの被害が県内でかつてなく広がりました。国は復旧支援を担い手農家だけに絞りましたが、県はそれ以外にも支援対象を拡げ、関係者から歓迎されています。ただし、なかなか支援金の支払いが進まず、「せっかく喜んだのに」と農家の方から問い合わせもいただきました。復旧支援の実績と支払い完了の目途、あわせて今冬の再発防止策についてうかがいます。

(農林水産部長)

関連して、県職員の地域手当の改善についてうかがいます。今年10月に県職労、県教組、高教組の3団体が共同で、富山市に勤務する県職員のみに支給される地域手当3%を、県内一律支給とするよう申し入れたと聞いています。個人署名5,912人分も提出されました。地域手当は、年間平均20万円と、けして小さな額ではありません。例えば、高岡市に住んでいる人が富山市転勤になると支給されて、逆だと支給されなくなります。すでに人事異動上の障害にもなっているとのことでした。県人事委員会が行った「県内民間企業の実態調査」でも、県内に複数の事業所をもつ民間企業52社のなかで、地域によって賃金格差をつけている企業はひとつもありませんでした。国は、国家公務員の地域手当の考えを県職員にも準拠するよう形を求めているようですが、従っている県は富山など5県だけになりました。総務省出身の知事から、民間出身の知事に交代されたこの機会に、改善してはどうかと考えます。知事にうかがいます。

(知事)

(4)35人学級と教育問題

教育問題について、教育長に4問うかがいます。

新年度は、国の制度に2学年先行し、小学校5年生にまで35人以下学級が拡大されることになっています。今年度は、4学年で実施しない学校もあったようですが、来年度は全クラスで実施できるようにして欲しいと思います。学級担任に正規教員を確実に配置するとともに、少人数指導や学校運営に必要な教員数もしっかり確保することを要望します。今年度は、県単独で6人の教員を確保しました。そこで、新年度はどう取り組むのか。5年生まで35人学級を完全実施するためには必要な学級増の数や、必要な教員数とあわせてうかがいます。

( 以下、教育長)

教員の多忙化解消のために期待されているのが、専科教員の配置です。今年度は、小学校専科教員等配置事業としてのべ229校分の配置が行われたと聞いています。先生たちの授業時間の持ち数は現在、小学校で週45コマとされていますが、少しでも軽減することが必要です。教員確保も課題ですが、今後の取り組みについてうかがいます。

生徒1人1台のタブレット配備とICT教育の推進も、現場の負担を増大させかねません。しかし、ギガスクール・サポーターの国庫補助は今年度限り、ICT支援員の地方財政措置も来年度限りとのことです。何らかの形での継続を働きかけるべきと考えます。また、スクール・サポート・スタッフ、緊急スクール・サポート・スタッフの継続配置も重要です。コロナ感染対策も引き続き必要ですし、教員多忙化解消も先が見えません。どう確保していくのかうかがいます。

2020年度、30日以上欠席した不登校の児童生徒は県内でも過去最多の1,865人となりました。不登校児童のためのフリースクールやフリースペースについては、県内に20か所が確認できるとのことでした。2017年に教育機会確保法ができて、ようやく教育委員会や学校と連携ができるようになったというのが関係者の声です。しかし、形態はさまざまです。射水市のフリースペースのように、市が運営費の半額を担っているため、利用料が1日100円という恵まれたところもあります。しかし、多くは運営経費に苦労されています。今後は、財政支援を含めて取り組みが強化され、保護者負担の軽減にもつながることを期待するものです。どう取り組んでいくのかうかがいます。

(5)気候危機打開の取り組み

10月末から開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、地球温暖化を産業革命前から1.5度上昇以内に抑えるため、世界の国々かの削減目標の「野心的」な引上げが相次ぎました。日本政府が4月に発表した2030年までに2013年度比46%削減という目標は、2010年比でいうと42%減であり、国連が示した全世界平均目標より低い、きわめて消極的な目標でした。ことは、地球の未来がかかった死活的課題です。EUは1990年比で55%削減、イギリスは68%減、アメリカも2005年比50~52%削減など、温室効果ガスを排出してきた先進国の責任を自覚した目標となっています。国際環境シンクタンクからは「パリ協定の目標達成のために、日本では2013年度比で62%削減が必要」との指摘がされています。

引き続き、国レベルでの議論が求められています。同時に、富山県はこれまでも「環境先端県」として国レベルを超える目標を掲げてきました。製造業でも脱炭素と成長を両立させる技術、可能性を追求しなくてはなりません。長野県は、すでに2030年目標を60%とする計画を決めています。県が2030年までの温室効果ガス削減目標の設定と、「県温暖化ストップ計画」の改定にどのような姿勢と体制で臨むのか知事にうかがいます。

(知事)

一方、「県再生可能エネルギービジョン」の見直しは、すでに9月に第一回の検討会議が開催されています。検討会の資料には、前回の計画にはなかった世界各国の「野心的」目標などについても書き込まれており期待しています。今回の計画では、2030年の省エネ目標と再生可能エネルギーの目標も盛り込むことになると思います。

また、検討会議では今後、電力使用量合計が原油換算で年間1500キロリットル以上の事業者に対しアンケートを実施し、2030年のそれぞれの再エネ導入量を調査するとしています。積極的な働きかけを期待するものです。これからは、ゼロカーボンに消極的な企業は、顧客から見放される時代になります。県内企業が省エネと再エネ導入に積極的に取り組むようどう働きかけ、どんな目標設定につなげていくのか知事政策局長にうかがいます。

(以下、知事政策局長)

COP26でも、石炭火力にしがみつく日本の姿勢が厳しく批判されました。国に先駆けて、富山県は率先して石炭火力からの脱出をめざすべきではないでしょうか。富山県はその条件に恵まれています。2020年度県内の総発電量86.9億kwhのうち、水力などの再生可能エネルギーがすでに58%を占め、火力発電は残りの42%です。節電と再生可能エネルギーの拡大で、電力確保は十分可能です。石炭火力から撤退すれば、化石燃料代の海外への支払いを減らし、経済成長にもつながります。局長の見解をうかがいます。

今年5月に改正された地球温暖化対策推進法は、一般市町村に対し「地方公共団体実施計画・事務事業編」だけでなく、温暖化対策の「区域施策編」の策定も努力義務としました。環境省によれば、県内では舟橋村がまだ「事務事業計画編」を策定しておらず、「区域施策編」があるのも富山市など4自治体だけとなっています。市町村とともに、積極的な目標とこの計画づくりにどう取り組んでいくのか、局長にうかがいます。

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