トピックス

2022年12月6日 一般質問(要旨) 津本議員

県議 津本二三男

問1 カーボンニュートラル戦略について

2018年、国連IPCC「1.5度特別報告」は、2030年までに温室効果ガスの排出を45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できなければ、世界の平均気温の上昇を1.5度以内に抑え込むことができないとしました。しかし、先月11月に開かれたCOP27で、事務局は、各国の削減目標を合計しても、2030年の世界の温室効果ガス排出量は、2010年度に比べて、減るどころか、逆に10.6%増加するとしました。

このままでは、進行している気候危機を食い止めることができません。各国政府、そして自治体が、さらに目標を引き上げて努力することが求められています。そこで、以下6点についてお尋ねします。

(1)温室効果ガス排出削減の目標について。

新たに策定する「富山県カーボンニュートラル戦略」で、県が示した素案では、2030年の目標を、2013年比で53%削減としました。しかし、国連が基準年としている2010年比でいけば、48%の削減です。長野県は、2030年目標を2010年比で60%削減としています。温室効果ガスの削減について、さらに意欲的な目標を掲げるべきと考えます。2010年比で、せめて50%を超えるものにすべきと考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。

(2)再生可能エネルギーの導入目標について。

県の戦略の素案では、年間の発電電力量を816GWh増加させることを目標としています。しかし、長野県では1.9万TJ(テラ・ジュール)、つまり5,278GWhの増加を目標としています。ケタが違います。「再エネは安くて速い」と言われています。ベトナムでは2021年の1年間で10万件の屋根上太陽光パネルの設置を進め、10GWを導入したと言われています。これは日本の原発、10基分に該当するとのことです。

カーボンニュートラルの実現のためには、再生可能エネルギーの比率を高めていくことが重要です。県の戦略において、さらに高い導入目標を掲げるべきと考えますが、いかがでしょうか。知事政策局長に所見をお尋ねいたします。

(3)再生可能エネルギーの導入は、海外に依存してきた化石燃料への支払いを大幅に減らし、地域経済の活性化につながります。また、石炭火力や原発などより、はるかに多い雇用を生み出すと言われています。戦略において、再エネ・省エネに関する経済効果や雇用効果について、数値で示し、見える化をすべきと考えますが、いかがでしょうか。知事政策局長に所見を伺います。

(4)県有施設のゼロエネルギー化について。

素案では、今後、新築する県有施設については、原則、エネルギー使用量50%以上削減の「ZEB Ready相当以上」とし、可能ならば、それ以上の基準、75%以上削減の「Neary ZEB」や、100%以上削減の「ZEB」を満たすように努めるとしました。県内の民間を含む建築物の断熱化・省エネ化を推進するうえで、「県庁の率先行動」の与える影響は大きいと考えています。

そこで、これから実施設計を行う富山県武道館についてもゼロエネルギー化を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねいたします。

(5)営農型太陽光発電=ソーラーシェアリングについて。

これまでも紹介してきましたが、神奈川県内のケースでは、1反ほどの水田で実施。下の水田ではコメを自然栽培。収穫約6俵で収入は7万円程度ですが、同じ水田にあるソーラーパネルの方は、最高140万円の売電収入がある。業としては十分成り立つということです。誰がそれを担うのか。誰がそれに意欲をもって取り組むのか。担い手の問題のあることは承知していますが、それでも、ソーラーシェアリングは、中山間地域における農家の収入増や農地の保全、集落の活性化につながる、切り札になるのではないかと期待しています。県として積極的に推進していくべきと考えています。気候変動対策と農業の振興の両立を目指し、県として、ソーラーシェアリングの導入に取り組むよう求めたいと思いますが、農林水産部長にお尋ねいたします。

(6)「気候非常事態宣言」について。

カーボンニュートラル戦略の目標を実現するためには、県民、事業者、地域が、「自分事」としてとらえて取り組むようにすることが、極めて重要となります。それがうまくいかなければ、戦略は「絵に描いた餅」になりかねません。

そこで、県民の関心・意識を高めるために、戦略の策定にあわせて、「気候非常事態宣言」を発出してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。知事政策局長に所見を伺います。

問2 物価高騰・コロナ感染拡大のなか、暮らしと経営を応援するために

(1)最低賃金について。

富山県の最低賃金は、今年10月に、これまでの877円から908円に引き上げられました。3.5%の引き上げです。いっぽう、物価のほうは、生活必需品である、消費者物価指数の「基礎的支出項目」によれば、今年10月、前年同月比で5.5%の上昇でした。この時点ですでに、最低賃金は物価上昇に追いつかず、実質マイナスになっています。物価上昇の内訳をみると、生鮮食品が約9%、穀類12%、魚介類17%、電気13%、ガス15%など、毎日の生活に欠かせないものが10%前後も上昇しています。事態はより深刻です。さらに、北陸電力の、家庭向け料金の「45.84%値上げ」の動きもあります。最低賃金の再度の引き上げがどうしても必要と考えます。フランスやドイツでは、今年すでに3回、最低賃金を引き上げているとのことです。

同時に、賃金引上げに伴う中小企業への支援も必要になっています。国や県では、設備投資等を伴う場合に、その費用を支援していますが、それでは、支援は一部の企業にとどまります。全ての中小企業が賃上げを実施できるように、社会保険料の負担を軽減するなどの直接的支援をすべきだと考えます。

最低賃金の再度の引き上げ、それに伴う中小企業への支援。これらを国に働きかけるとともに、県としても、県内での賃上げが進むように、中小企業の支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。

(2)福祉灯油について。

政府が対策事業を行っていますが、それでも灯油価格は、近年にない高い水準で推移しています。資源エネルギー庁の調査によれば、今年11月下旬の県内の灯油価格は、18ℓで1991円にもなっているとのことです。便乗値上げがおこなわれないよう価格動向の調査・監視を行いながらも、物価高騰の影響を受ける生活困窮者等を支援するため、市町村と連携して福祉灯油の実施を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。厚生部長に所見をお尋ねします。

(3)学校給食の無償化について。

憲法は「義務教育は、これを無償とする」と定めています。そして、政府は1951年の国会において、義務教育の無償を「できるだけ早く広範囲に実現」したいとし、学校給食費などの無償も考えていると答弁しました。しかし現在も、それは実現できていません。いっぽう、政府は、70年前のその認識を、現在も継承しているとのことです。子どもが減少するなか、これまでかけてきた教育予算を減らさずに使えば、財政的にも可能になっているものと考えています。

7人に1人の子どもが貧困の状態にあります。物価高騰の下、学校給食の無償化の願いは、かつてなく広がっています。千葉県では、第3子から実施するとのことです。子育て家庭への支援として、学校給食の無償化を国に働きかけるとともに、県としても独自の取り組みを検討してはどうか、そのために必要となる経費とあわせて、教育長にお尋ねします。

(4)県営住宅の連帯保証人について。

最近おこなった住民との意見交換会において、県営住宅に入りたいと思い相談に行ったが、上から目線で、家族のことまで入り込んで、連帯保証人を用意するように言われたという話がありました。県は、県営住宅の入居の際に、連帯保証人を求め、努力しても見つけることができない場合には、年に1回1万5,000円の家賃保証料を払えば、入居できるとしています。しかし国の通知は、セーフティネットとしての役割を重視し、連帯保証人を入居の要件としないことを基本として、求めています。県営住宅への入居において、連帯保証人を不要とすべきと考えます。せめて、家賃保証制度との選択制にすべきと考えますが、いかがでしょうか。土木部長に所見を伺います。

(5)2階より上の階に住んでいる高齢者は、身体が動けなくなった場合、1階への引っ越しが必要となります。しかし、体が動けなくなってからの引っ越しは大変であり、その前に移動を認めてほしいとの要望がありました。県営住宅においても高齢者福祉の観点が重要です。一定年齢以上で、希望があれば、県営住宅内での引っ越しを柔軟に認めるべきと考えますが、いかがでしょうか。土木部長にお尋ねします。

(6)インボイス導入について。

声優が立ち上げた有志グループの調査によれば、声優の7割は年収300万円以下であり、「インボイスの発行がない場合、今後の取引をしないという通告が来た」などの声があがっているとのことです。そして、インボイス導入で23%が廃業を検討しているとのことです。来年10月に予定されているインボイス導入は、フリーランスや中小零細業者を危機に追いやるものです。

知事は先の議会で、「複数税率においてインボイス制度は必要であり、やむを得ない」と答弁されています。しかし、「10%と8%という、2種類の税率であれば、これまでの帳簿方式でも計算は可能」とする見解があります。また、今年6月に「インボイス制度の中止を求める税理士の会」の出した声明では、「現行の複数税率のもと、2年6ヶ月以上、適正な消費税申告が行われており、インボイス導入の理由は破綻している」としました。このことに対して、どのように認識されているのか、また、こうしたことを踏まえ、国に導入中止を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。

問3 県内農業への支援について

(1)畜産農家への支援について。

いま、畜産農家は、配合飼料と粗飼料、機械の価格高騰が津波のように来ており、生産コストの高騰で危機に直面しています。射水市内の酪農家によれば、配合飼料は、一昨年の12月、トン当たり6万2,500円だったものが、昨年10月には7万7,000円に、そして今年10月には9万6,500円に、急速に上がり続けています。また、牧草などからつくる粗飼料も同様で、昨年1月、トン当たり、5万9,000円だったものが、昨年10月には6万8,000円に、今年10月は8万6,500円にもなっています。配合飼料には「配合飼料/価格安定制度」があり、補てん金がきているが、「とっても足りない」とのことでした。そして粗飼料の方には支援がありません。金をかけて子どもに迷惑をかけたくないとも考えるが、射水市から応援するとの話もあり、頑張ることができている―とのことでした。

全国では、畜産農家の廃業が毎日、相次いでいると言われています。畜産の危機を打開するため、従来の枠組みにとらわれない抜本的な対策が必要になっています。飼料価格等の高騰の影響を受ける畜産農家に対して、さらなる支援が緊急に必要と考えますが、いかがでしょうか。知事に所見を伺います。

(2)高病原性鳥インフルエンザについてです。

先月、射水市内において、野鳥の高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されました。養鶏場などへの感染は、人がウイルスを運ぶ可能性が最も高いとされ、養鶏場における衛生管理の徹底を図ることが求められています。また、射水市とその周辺には多くの渡り鳥が飛来します。感染した野鳥を早く発見し、群れから取り除くことができるように、群れの観察の強化が求められます。また、地域住民が様々な不安を抱くことも考えられ、無用な混乱を防ぐために、臨時の相談窓口などの設置も必要と考えます。引き続き、野鳥の監視強化や、地域住民の不安の解消に努めるとともに、今後、養鶏場への感染を防ぐための対策に万全を期す必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか。農林水産部長にお尋ねします。

(3)県産小麦の生産についてであります。

これまで本県では、小麦の生産が難しいと言われてきました。しかし、砺波市の大門(おおかど)営農組合では、7年ほど前から小麦を作っており、それを大門(おおかど)素麺に使っているとのことです。お話によれば、「小麦は大麦よりも収穫が1~2週間遅いため、梅雨の時期と重なり、難しいとされてきたようだが、気候が変化しているからか、ダメになったことはない」とのことでした。今後、富山に適した小麦品種の選定や生産の拡大を図ってはどうかと考えています。県産小麦の生産について、現状の課題をどのように認識し、今後、県として生産拡大にどう取り組んでいくのか。農林水産部長にお尋ねします。

▲ このページの先頭にもどる

© 2019 - 2024 日本共産党富山県議団