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「土地利用規制法」による人権侵害の防止を求める意見書(案) 提案理由説明

2022年12月14日
津本二三男

 日本共産党の津本二三男です。私は、「富山県平和運動センター」「安保破棄富山県実行委員会」「自由法曹団富山県支部」のみなさんより、今議会に提出された請願にこたえ、「『土地利用規制法』による人権侵害の防止を求める意見書」の提案理由説明を行います。

 「土地利用規制法」は、米軍・自衛隊基地や原発など、国が重要と考えた施設の周辺1キロメートルを「注視区域」(注視=見つめる・見入る)、あるいは「特別注視区域」に指定し、その「区域」内にある土地や建物の所有者や賃借人、使用者について調査・情報収集をして、「機能を阻害する行為」があれば使用の中止を勧告・命令し、従わなければ刑事罰を科すというものです。

 今年9月20日に全面施行され、2024年秋までに全国で「注視区域」「特別注視区域」の指定を行う予定とされています。

 さて、この「土地利用規制法」で指定される「注視区域」「特別注視区域」についてですが、法律上の歯止めがありません。自衛隊や米軍の基地の周辺だけでなく、発電所や空港、港湾、放送局、駅、水道施設の周辺など、政府の判断ひとつで無限に広がり得るものとなっています。ちなみに「注視区域」に指定されると土地利用規制の対象となり、「特別注視区域」に指定されると、土地売買には届け出義務が罰則付きで科されることになります。不動産取引に重大な影響がでてくることが考えられます。

 また、施設に対する「機能阻害行為」についてですが、最高で「2年以下の懲役、200万円以下の罰金」を科すとされています。しかし、罰則の対象となる「機能阻害行為」とは、いったい、どのような行為を指すのかについて、やはり法律に定めはありません。すべて政府の判断にゆだねられています。

 そして、調査・情報収集についてです。これも、法律上の歯止めがありません。誰が調査対象となるのか。政府の判断次第で、「注視区域」などの区域内に住む人、土地を持つ人、ホテルを利用する人など、あらゆる人が対象となり得ます。そして、調査する内容についても、職業や収入、交友関係やSNSでの発信など、個人に関わる情報についても対象となり得るものです。

 これは「有事」の時だけのことではありません。「平時」から行われるものです。つまり、「注視区域」に指定されれば、日常生活が調査・情報収集の対象となり、プライバシー権、思想信条の自由などの基本的人権が恣意的に侵害される恐れがあります。

 以上のことから、運用によっては、人権が侵害される恐れのあることを危惧し、「注視区域」の指定においては、それに先立って、該当する自治体から指定の可否を含めて意見・要望を聴取するとともに、住民への説明と意見聴取の場を設けること。「注視区域」の指定が行われた場合には、土地や建物の利用者に通知すること。土地等利用状況の調査にあたっては、「個人情報の保護に十分配慮」「必要な最小限度のもの」という法律にある留意事項を踏まえ、目的外の情報収集を行わないこと。また、収集した個人情報の管理を徹底し、当該個人の了承なく提供しないことを強く求めるものです。

 ここに他会派の皆さんの賛同を心から呼びかけまして、本意見書の提案理由の説明といたします。

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